やっと三国志の面白さがわかりかけてきたかもしれない

 最近映画の影響か三国志がブームですね。それにはまってというわけではなく、しばらく前にたまたま蒼天航路という漫画を読破してから、ちょっと三国志にはまっております。といっても、漫画でしか読んでいないというだめっぷりなのですが(笑)
 そもそも、自分は三国志に対してちょっと食わず嫌い気味だったのですが、ある程度内容がわかってくると結構面白い。さまざまな権謀術数や人間関係の推移、戦略、戦術等見るべきところはいろいろとある。で、今回は横山三国志蒼天航路の比較ということで。ちなみに蒼天航路三国志演義ではなく三国志(歴史書)を基本としており、曹操を主人公にしている話なので、結構かみ合わないところや、三国志演技では結構さらっと流していることをじっくりやっていることもある。まぁ完全に捜索の部分もあったりして歴史本としてはかなりの異色作であることを前述しておく。

 そもそも、三国志が食わず嫌いだったのは、所謂「横山三国志」がなじめなかったからです。今読み直しているところなのですが、蒼天航路とくらべて何が違っていたかというととにかくキャラクターが薄い・弱いと思うのです。横山三国志を呼んでいる際に、この台詞を話しているのがなんと言う名前の人でこれまでどういう活躍をしてきた人かというのがわかりづらい。蒼天航路ははしばしに台詞を話しているキャラクターの下に名前を書いていてくれるので、複雑に入り乱れ、多数でてくるキャラクターを把握しやすい。また、それぞれのキャラの灰汁が強いのもよいですね。横山三国志だと、劉備→正義。仁義の人で清廉潔白 曹操→非情な悪役 関羽張飛→義兄に盲目的に支える。そして孫権はいまいちキャラが弱い。これは三国志演義をもとにしているからではあるのだけど、あまりにも人間的でない。
 基本、世の中に絶対の正義はなく悪もない。戦いが起きるということは、それぞれが主張する正しいと思うことがぶつかり合うからで、それぞれに理由がある。ただし、それが一般的に受け入れられるか、受け入れられづらいか位はあるかもしれない。ただし、それは時代によっても変わってくる。現在大不評のヒトラーユダヤ人を迫害・虐殺するというとんでもないことをしているが、ユダヤ人は結構時代を超えて嫌われており(その件に関しては別問題なので特に言及しない)、当時のアメリカの白人には結構人気があったらしい。また、彼は当時70%の失業率を激減させたり、庶民用に安価な自動車の開発推進(フォルクスワーゲン)、無料高速道路の整備(アウトバーン)等々、今の日本の政治家ではとても太刀打ちできないような政策を次々と行っていたりもする。そりゃ国民から人気が出るわけですよ。(彼はあくまでも国民の投票により総統になったのですよ)
まぁヒトラー賛歌をするつもりはまったくないので、これは置いておいて、蒼天航路が読みやすかったのは、前述の名前をところどころに書いていてくれる点とそれぞれのキャラクターの性格がちゃんと出ていたことでしょうね。劉備はやたら逃げたり泣いたりするし、普段は知的で豪放な曹操も時には落ち込んだり、女におぼれてみたり。感情を極端にあらわにするからわかりやすい。また、前半での大見得を切る脚色が面白い。これは個人の資質なのか、それとも漫画の魅せ方の進歩なのだろうか。

 しかし、蒼天航路のキャラクターはよいのだが印象がずれているというか。曹操はなんとなく(晩年でもあまり狂わない)信長っぽいキャラクターになっている。まぁこれはよいのだが、劉備はどうみてもキャラクターが劉邦前漢創始者劉備の先祖)になっているようにしか見えない。あれで仁徳いわれても説得力ないな。決定的なのが、(赤壁の戦いの直前ぐらい)逃亡時に子供を投げ捨てるシーン。これは完全に劉邦のエピソードじゃないのか? ちなみに劉邦のときに彼が捨てた子供を一生懸命拾ったのが曹操曹操の父は夏候氏からの養子)や夏候惇、 夏候淵のご先祖の夏候嬰。歴史の皮肉だねぇ。そういえばこの漫画に出てきた諸葛亮ほど活躍しないうえに変なキャラもそうそうお目にかかれないだろうなぁ。にしても、曹操が死んだらざくっと終わってしまうのはちょっとさびしいですね。

 という感じで蒼天航路の一端を評価したのだが、横山三国志がつまらないかというと、そうでもない。やはり、抑揚があまりないから、最初のほうで劉備たちが余り活躍しない時期はあまり面白く感じないんだろうなということで脱落したのだろう。とはいえ、今読み返しているのだが、劉備が死んでから先はさっぱり読み進んでいない。さすがにあと20巻近くあると考えると微妙。まぁまだ三国志の一端に触れたばかりなので、少しずついろいろと読み進めていくつもりである。